「何が?」

「だからぁ、本音ですよ。先輩、本当は実行委員長なんてやりたくなかったんじゃないですか?」



…はっ?
目を丸めて、あたしは谷原を見る。

…相変わらずの笑顔を崩さず、谷原はあたしを見続ける。

その笑顔が、今は逆に気味が悪い…。


「…なんで、そう思ったの?」

「今日の先輩の態度を見てて、思いました。実行委員長なら、もっとやる気があっていいんじゃないかなーと」


悪かったね、やる気なくて。


「…で、何?」

「特に何も。ただ、先輩の本音はなんなのかな~と思って、聞いただけです」


そんな理由なら、いちいち待ってまで聞くなし!!

でも、そんな事は言えず。


だって、可愛い顔であたしを見てるんだもん…。


「…では、さようなら」


ぺこりとお辞儀をすると、谷原はさっさと帰ってしまった。

残されたあたしは、谷原の背中を見るだけ。


……でも、一つだけ心に残った事がある。


『実行委員長なら、もっとやる気があっていいんじゃないかなーと』


「…悪かったね、やる気なくて!!」



谷原の姿はもうないが、あたしはそう言い返してやった。

わずかな満足感。
そして、屈辱感。