私は笑顔を作る。
「こっ、告白してみれば?好きな人に」
「えー…。この花びら、信用できひん」
「じゃあ、物は試しで」
「告白は真剣モンやで!?」
……本気で怒られた。
よっぽど、好きなんだろうなぁ。
誰なんだろう?
――胸がずきずきと痛む。
…川口くんの好きな人は、誰?
なんて、聞けない。
……それから、私と川口くんは無言のままだった。
そのまま家に着いてしまう。
「ありがとう、家まで送ってくれて」
「こんな暗いのに、女の子を1人で帰らせられへんやろ」
その優しさが、胸を痛めつける。
おじさんに言われたから送ってくれたとしても、本当に川口くんは優しい人。
だから、川口くんの好きな人も、きっと川口くんの事を好きになる。
いや、もしかしたら両想いかも。
…想像するだけで涙が出そうになる。
「じゃあ、また明日ね…」
そろそろ、やばいかも。
涙が溢れる前にきびすを返した。



