「ふぅー」


今日のバイトも終わった。

更衣室で学校の制服に着替えながら、私は店長からもらったあるものを見つめる。


…それは、余ったケーキ。

見るだけで、笑みがこぼれる。


「ケーキ余っちゃったから、加藤ちゃん持ってっちゃってよ」

と、店長に言われて、私は有り難くもらってきた。


ほんと、いいところ紹介してもらったなぁ。

こうしてケーキまでもらえちゃうし、何より店長が面白くて優しい。
それに、内装もお洒落だし、働いていてすごい楽しい。

何より、ケーキが美味しい!!

一度、ここのカフェに食べに来たことがあったけど、その時に食べたモンブランがものすごく美味しくて。一緒に来ていた子に一口もらったショートケーキも、クリーミーで最高だった。


他の子たちに聞いても評判はいいし、そのケーキをもらえるなんて…。

私、ついてるなぁ♪



学校の制服に着替え、更衣室を出た。

すると、そこには制服姿のまま携帯を打つ朝倉さんの姿があった。


「お疲れ様です、朝倉さん」

「ん。あぁ、柚稀ちゃん。お疲れ」

「彼女とメールですか?」


からかい気味に聞くと、朝倉さんは笑う。


「違うよ。大学の友達からの連絡」

「朝倉さん、大学に行ってるんですか?」

「そうだよ~」

「かっこいいですね」


私がそう言うと、少し照れ気味に「そうか?」と朝倉さんは小さく言う。


きゅん。

私の心臓が、小さく鳴った。