帰り道。
私は、川口くんに送ってもらっていた。
「…ご、ごめんね?わざわざ送ってもらって」
「ええよ。女を守るんは、男の役目やし」
「…ありがとう」
優しい。
本当に、柔らかくなった。
…この1週間で、私は川口くんに近づけたのかな?
―――出会いは、私が助けてもらったあの時。
まぁ、その前に新しいクラスメイトとして顔を合わせていたらしいけど…。
初めての会話は
『自分アホか!?もう少しで死にそうやったんやで!?』
『…え?』
…怒られた。
でも、今ではいい思い出になるのかな。
「…桜、もう散ってきちゃったね」
「せやな…」
上を見上げる。
桜の花ははらはらと散り、葉が見えてきた。
…毎年この時期は、悲しくなる。
もうちょっと長く咲いていればいいのに。
そう思う。



