「それより、ラーメン食べや。むっちゃ美味いから」
「あ、うん。のびちゃうもんね」
私がそう答えると、川口くんは笑顔になる。
きっと、ここのラーメンが大好きなんだろうな。
しっかり味わって食べなきゃ。
私は割り箸を割って、手を合わせた。
ラーメンを食べ終えた後、川口くんのおじさんの気遣いで、裏の休憩場に私はいた。
ラーメンは、今まで食べた中で一番の味だった。
汁まで飲みほして、完食した後の一言が
「ものっすごい美味しかったです!!」
…だった。
周りのお客さんにまで笑われちゃった…。
そして気が付いたら、外は真っ暗だった。
「女の子が1人で帰るのは危ないから」
川口くんによく似た顔のおじさんは、笑顔でそう言ってくれた。
こんな優しいおじさんだから、あんなラーメンが作れるんだってわかった。
私が食べたおじさんのラーメンは、例えるなら…家族の味。
温かくて優しくて…、でも厳しさもある。
きっと、家族の事を考えているから、それが味に出るんだろうなぁ。
「…待たせたなぁ」
と、川口くんが休憩場に入ってきた。
ラーメンの匂いがする。
無意識に、匂いを嗅いでしまった。
「ん、臭うか?」
「ううん、大丈夫」
ラーメンは、私も好き。