「―――醤油ラーメン、お待ち!」


どんっ、と豪快にラーメンが置かれる。

……あ、こぼれなかった。


じっ…、と、ラーメンを運んできてくれた彼の顔を見る。


「…なっ、なんやねん」

「バイトって、ラーメン屋さんだったんだ」


そう言うと、川口くんはカッと顔を赤くする。


「だから、言うたやろ!?面白くあらへんって!」

「ううん、楽しい。働いてる川口くん、かっこいいよ?」

「!!」


…どうしたんだろう、私。

今日は、なんだか素直な気持ちが言える気がする。


……信じてるからかな。

柚稀や奈波の事を。


…それから、川口くんの事を、―――


「暁ぁ、誰その可愛い子。彼女〜?」


さっき、川口くんに「給料減らすで!」って言っていたお姉さんが、私と話す川口くんを見てニヤニヤと笑っていた。

すると、川口くんは耳まで真っ赤にして、お姉さんを見る。


「ちゃ、ちゃうわ!!」

「ふつつかものの甥っ子ですが、これからも仲良うしてやってください〜」

「だから、なんでそうなるんや!!」


甥っ子…?

て事は…。ここ、川口くんのおじさん家って事?


おじさん家で、バイトかぁ…。
なんか、いいなぁそれ。


「ええもんやないで。こき使われて終わりなだけや」

「え。私、口に出してた?」

「おう」


やだ、恥ずかしい…。