「ちょ…、加藤!!」

「じゃーね、麻友♪」


柚稀はウィンクをすると、奈波を追っていった。


……川口くんと、2人きりになっちゃった。

ちらっと、目を向けて見る。

川口くんは、顔を真っ赤にしながら2人が行った先を見ていた。


「…あの…」


声をかけると、びくっと大きく反応する。


「べっ!別に、俺は名前で呼んでほしいなんて言ってへんからな!」

「え…?」

「あれは、加藤が勝手に言っただけで…。で、でも…、呼びやすいなら、名前でも…」

「いや、違う…。時間…、バイト大丈夫?」

「え…?あ、やばっ!!」


時計を確認するとともに、川口くんは走りだす。


「あっ、川口くん!」


そんなにぎりぎりな時間だったのかな…。
悪いことしちゃったなぁ…!

……川口くん、速いなぁ。