次の日もバイトだった。
「あ。こんにちは、柚稀ちゃん」
「こんにちは!」
来たばかりなのか、朝倉さんは髪をピンで留めながら挨拶をしてくれた。
少し長めの髪を留めてる姿は、なんだかかっこよかった。
…って、見惚れている場合じゃない。
私は急いで更衣室に入り、制服に着替えた。
「今日は、レジの打ち方を教える」
「お願いします」
昨日はオーダーの取り方。
今日はレジ打ち。
覚える事が次々と出てきて、大丈夫かな。
「――これが、一通りのやり方。わかった?」
「はい、なんとか…」
「今日は人手も多いし、ついててあげるから。ほら、力抜いて」
「はい」
「でも、金銭絡みだからねー。いつも以上に、気は抜いちゃダメだよ~?店長は、金の亡者だから」
「あはは。気をつけます」
笑いながら言う朝倉さん。
その時、後ろに人影が現れた。
「誰が金の亡者だ、朝倉。給料減らすぞ?」
店長だった。
「うわ、それは勘弁してください~!」
2人のやりとりに、私は思わず笑ってしまった。
――そしてまた、朝倉さんのおかげで緊張がほぐれた。



