グッと、手に力を入れた。
「…柚稀と奈波に離れてほしくないから。それくらいなら、私は川口くんと仲良くするのをやめる……」
「「…は?」」
「え?」
目を丸めて、2人は私を見る。
…もしかして、間違った?
『モテ女ぶってんじゃねーよ』…て事?
ち、違うよ!そんなつもりじゃ…――!
「いたっ」
急に頭をはたかれた。
犯人は、川口くん。
「…自分、とんだ被害妄想女やなぁ」
「被害妄想…?」
「そんなに、この2人が信じられへんのか」
呆れたような顔で、川口くんは柚稀と奈波を親指でさす。
見ると、そこには必死に笑いをこらえている2人の姿があった。
な…、なんで笑ってるの…!?
「そ、そういう事ね、麻友!」
「あはははは!大丈夫大丈夫!!あんたみたいな天然おバカちゃん、なかなかいないから!!」
…えっと?
つまりは…?
涙を拭きながら、柚稀は私に向き合った。
「中学の時の事でしょ?私の友達に、麻友と同じ中学の子がいるって、前に言ったよね?」
「う、うん…」
「その子に、聞いたよ。麻友の事。あんた、男問題でずいぶん苦労したんだね」
え…。
柚稀、知ってたの…?
…ううん、柚稀だけじゃない。
奈波まで…。



