「…ううん、大丈夫だよ。ごめんね、急に泣いたりして」


時があまり経ってないなら、頼るべきじゃない。

柚稀と奈波に嫌われたくないから。


…なら、なんで私は川口くんのバイト先に行こうとしてるの?

嫌われたくないなら…、来るべきじゃなかった。

何やってるんだろ、私…。


私は足を止めた。


「…ごめん、川口くん。私、帰るね」

「え…?」


目を丸めて私を見る。

無理もないよね。

ついていくって言っておきながら、やっぱり帰るって…。


でも…、そうしなきゃ。


「なんか、用事でも思い出したんか?」

「ううん、何も用事はないけど…」


って、何素直に答えてるんだ、私…。


「なら、えーやん。…まぁ、無理に来いとは言わへんけどな!」


―――そんな事言われると、行ってみたくなっちゃう。

……私は、どうすればいいんだろう…?



――――その時だった。



「あれ、麻友~。こんなところで何してんの?」


一瞬、時が止まった気がした。

振り向くとそこには、よく知った2つの姿。


「…奈波、柚稀……」


なんで、こんな時に…?