『麻友なら、男と仲良くしてればいいじゃん』
なんでそんな事言うの?
私、男の人と仲良くなんかしてないよ…?
『なんでも私任せにするの、疲れるんだよね』
気をつけるから…。
私、頑張って人と話せるようにするから…!
「――ほら。結局は、麻友も《男好き》って事よね」
やめて…。違うよ…?
私は、私は…―――
「―――橘?」
ハッ、と我に返る。
横を向くと、そこには川口くんの姿。
心配そうな顔をして、私を見てくれている。
「大丈夫か?急に黙り込んで…って」
あ…。
私、泣いてる…。
自分の事なのに、他人事のように思える。
なんでコイツ、泣いてるの?
そういう態度が、ダメなのに…。
「…ごめん。なんでもないよ」
そう言って、私は涙を拭った。
大丈夫。
慣れてる。
みんなが私から離れていくことには。
でも…
柚稀と奈波だけには、離れてほしくない―――。
私は、我がままなのかな?
「……なんか、あったんやろ」
「え?」
「俺に、話してみぃ。力になれるかどうかはわからへんけど…。話せばラクになるかもしれへんで?」
…初めて、こんな優しい川口くんの顔を見た。
当たり前だよね。知り合って、そんなに経ってないもん。



