……口で言えない仕事なのかな?
なら…
「川口くん。今日って、バイトあるの?」
「ん?まぁ、今日はある」
「じゃあ、一緒に行こう」
「……は?」
だって、その方が手っ取り早いもんね。
我ながらいい考えだなぁ。
……なんで、川口くんはそんな目で私を見るんだろう?
「…どうしたの?私、変なこと言ったかな…」
「変も何も、俺はバイトに行くんやで?自分も行って、どないするん」
「だから。川口くんはどこでバイトしてるのかなぁって。気になってるから、それを知るためについてく」
「だからって…。行っても、おもろくないで」
「大丈夫。川口くんがいるから」
「っ!?」
川口くんは、また顔を背けてしまった。
……最近は少ないと思ったのになぁ。
私、何かしたのかな…。
「…それは、計算か?」
ぼそっと聞こえた、川口くんの声。
「えっ?」
「なっ、なんでもあらへん!!」
川口くんはそう言いながら、1人でさっさと行ってしまった。
…耳、赤かったような?
まぁ、いいか。
てか、私は川口くんにちゃんと言ったし、ついていってもいいよね。
「川口くん、待って~!」
と言うと、ちゃんと待ってくれる。
そんな彼に、優しい人なんだなぁって感じた。
それとともに、以前奈波に言われた言葉を思い出す。
『麻友って、犬みたいだよね』
なぜそれを今思い出すのかはわからないけれど。
でも、今の私を見たら、奈波はまた言う気がする。
それも、なぜそう感じたかはわからないけれど。
私は、待っていてくれている川口くんの元に走って行った。



