―――それから、多分1週間が経った。
「川口くんって、部活入ってる?」
「いや。部活は入ってへん。バイトしてる」
川口くんと《友達》になってから。
私は積極的に、川口くんに話しかけに行っていた。
…自分でも、なぜなのかはわからない。
初めての会話は、川口くんの説教だったのになぁ。
……最初は顔を背けられていたけど、話しかけてくうちに、だんだんこっちを向いてくれるようになった。
川口くんも、人見知りなのかな。
「バイトしてるんだ?どこ?」
「っ!…なんで、そんな事聞くん?」
「えっ。だって、行ってみたいなぁって思って…」
「そない、面白いもんじゃあらへん」
「ふーん…」
……結局、どこでバイトしてるかは教えてくれなかった。
なんでだろう?
教えちゃうと、何か都合の悪い事なのかな…。
でも、この学校はバイト禁止じゃないし……何か理由があるんだろうなぁ。



