恋愛話を始めましょう。


ふふっと笑うと、朝倉さんも困ったように笑った。


「…うん。その笑顔で、頑張ってこい。でも、何かあったら俺に頼れよ。な?」

「あ…。ありがとうございます」


朝倉さんと話しているうちに、肩の力が抜けた気がした。

…朝倉さんは、私の緊張をほぐしに来てくれたんだ。


―――その後の仕事も、朝倉さんが見てくれているって感じると、不思議と笑顔でできた。



初日のバイトは、よくできた。

奈波と麻友も遊びに来てくれたし、今日は楽しかったなぁ。


学校の制服に着替えて、店長に挨拶をした後店を出る。

すると


「柚稀ちゃん!」

振り返ると、そこには朝倉さんの姿。


「え…、朝倉さん?」

走ってきたのか、朝倉さんは息を切らしている。


「ど…、どうかしましたか?…もしかして私、なにかやらかしました!?」

「ち、違う違う…!…これ、柚稀ちゃんのじゃない?」


そう言って渡してくれたのは、ピンクの携帯。
私の携帯だった。


「あっ…、そうです!どこにあったんですか?」

「裏口の近くに落ちてたよ」

「すみません、わざわざ持ってきてもらって…」

「ううん、ダイジョーブ。携帯ないと、不便だからね」


朝倉さんから携帯を受け取り、頭を下げる。


「じゃあ、またね」

「ありがとうございましたっ」


お礼の言葉に朝倉さんは微笑むと、走ってきた方に戻っていった。

…帰る方向と逆なのに、わざわざ持ってきてくれたんだ。

優しいなぁ。


私は朝倉さんに届けてもらった携帯を握りしめて、家に帰った。