関西弁の彼は大きくため息をついた。

…この辺の人じゃないのかな。
でも、制服はうちの高校のものだし…。


「あのっ!大丈夫でしたか!?」

と、彼の後ろから1人の男の人が走ってきた。

「すいません!ぶつかってしまって…」

あ…。あれ、ぶつかられたんだ。

わざわざ謝りに来てくれたんだ。


「いえ。大丈夫です――」

「大丈夫なわけないやろ」


彼は立ち上がって、その男の人を睨みつけた。


「俺がいなかったら、コイツ死んどったんやで!?それを、すいませんですむと思ったら、大間違いや!!」

「へっ…」


す、すごい迫力…。
で、でも、そんなに怒る事じゃぁ…?


「あっ、あの!」

「あ゛ん!?」


ひっ…!
この人…、怖い…。


「たっ、助けてくれてありがとうございました!でっでも、その人ばかり責めないでください…。ぼーっとしてた私が悪いんですから…」

「…」


私がそう言うと、彼は黙った。
…納得、してくれたのかな。


「…あの?」

「あっ…。ごめんなさい」

「いえ…。こちらこそ、ぶつかって本当にすみませんでした…」


男の人は深く頭を下げた後、いそいそと駅の階段を上がって行った。

急いでたのかな。
それなら、引き止めるような事になっちゃって、悪かったなあ。


…でも、さっきからこの人、黙ったまま?


声、かけた方がいいのかな…。


「おい」

「!?はいっ」