あれは、7年前の春。

多分、私たちが高校2年生になりたての頃。


用事があるからと言われて柚稀と奈波より先に帰る私は、駅のホームで電車を待っていた。


あ、桜が咲いてる。
もう春だなぁ。

なんて、向こう側に見える桜を眺めていた。
その時だった―――…。


ドンッ、と、背中に何か大きいものがぶつかる。

前のめりに倒れる。

…あ。私、落ちる――?


すべてがスローモーションに感じた。

横から、がたんがたんって音がする…電車の音かな―――?


――――途端、強い力で腕を引かれた。

ハッと我に返ると、私は尻もちをついて倒れていた。


それと同時に、快速電車が目の前を通過する。

…私、死にそうだった?
誰が、助けてくれたんだろう…。

後ろを向くと、そこには私が通う高校の、男子の制服。


ぜえぜえと息を切らしている。


「…あの、大丈夫ですか?」

声をかけると、その人はキッっと睨みつけるように私を見てきた。

思わずひるんで、少し後ろに引いてしまう。


「自分アホか!?もう少しで死にそうやったんやで!?」

「…え?」


…関西弁?