「男の人…?」

思わず、すっとんきょうな声が出てしまった。


「そ♪」

玲奈さんが綺麗な顔で笑う。


「柚稀ちゃん、絶対に勘違いしてると思ったから、言っておかなきゃと思って」


いやいやいや。待ってください。

…玲奈さんが

「男の人…?」

「あんまり繰り返して言われると、ちょっと傷つくわ」


だって、信じられない。
私の目の前にいるこの美人が……、男の人なんて――!!


「ごめんね、柚稀ちゃん。今日倒れちゃったのって、あたしのせいよね?」

「えっ?」

「いや、あたしのせいでもあるけど、ほとんどはこのヘタレがはっきりと言わないからよねっ」


そう言いながら、玲奈さんは朝倉さんを指さす。
そして、玲奈さんの隣で朝倉さんは苦笑した。


「いえ…、私の体調管理ができていなかったせいです…」

「乙女の気持ちは、あたしがよくわかってるわよ」


乙女…?
玲奈さん、今自分で男だって言ってたよね…?


玲奈さんは笑顔を消して朝倉さんを見ると、急に胸倉を掴んだ。


「あんた、こんな可愛い子泣かしてどうすんの?最近の男は、ホントにヘタレね!そんなんじゃ、女の子は逃げてっちゃうわよ?」

「…わかってるよ」


朝倉さんは玲奈さんの手を無理矢理はがし、向こうへと追いやった。