―――――
―――


「…ん?」


気がつくと、私は横になっていた。

…ここは、バイトの休憩場?


「あ。柚稀ちゃん、起きたね」


と、横から店長の声が聞こえた。


「柚稀ちゃん、朝倉に何か伝える前に倒れちゃったんだけど、覚えてる?」

「…はい、なんとなく……」


あの後、倒れちゃったんだ…。

時計を見ると、もうあがりの時間。


…あれからずっと、寝ちゃってたんだ。


「頑張ってくれるのは嬉しいけどね。そんなふうに倒れるまで無理はしないでほしい」

「すいません…」


そうだよね。
迷惑かけちゃった…。

でも、店長の目は優しかった。


「僕が心配してるのは、お金でもなく自分の事でもない。ここで働いてくれている、スタッフの事なんだから」

「店長…」


また、泣きそうになる。

私、恵まれてるなぁって。
そう感じた。


「本当に、ご迷惑をおかけしてすいませんでした。しかも、ここまで運んでもらっちゃって…」

「あぁ、運んだのは僕じゃないよ。朝倉だ」


え…。
あ、朝倉さんが!?


体温が一気に上昇する。