朝倉さんの目が開かれる。


「ご…、ごめん!!」


私…、何泣いてるんだろ。

朝倉さんを、困らしたらダメじゃん…。


「すいませ…っ」


必死に涙を拭う。

でも、一度出た涙は簡単には止まらなかった。


「おーい、朝倉ー!今日はキッチン出てくれ!」


キッチンの方から店長の声が響く。


「あ…」


朝倉さんは、店長の声がした方と私とを見る。

…よかった。涙、止まったみたい。


「…大丈夫です。いきなり泣いて、すみません」

「あ、いや…。…柚稀ちゃん」

「朝倉さん、キッチンなんですね。頑張ってください」


何か言いたげな朝倉さんに、「大丈夫です」とだけ言って、私はホールに出た。