「ここ、ここですよ」
「え?」
パシャッ
あ、撮られちゃった…。
わぁ!私、変な顔!
しかも、指さしてるし…。
あ、でも、朝倉さん、なんか可愛い顔してる…。
「ここです!」
「あ、わかった」
「じゃ、次撮りますよ!」
よし。次のは、上手く撮れた。
その後も、次々と撮れていき、ラクガキタイムになった。
「あはは!朝倉さん、すっごい変顔ですね!!」
「柚稀ちゃんも、だいぶすごい顔してるよ?」
「本気でやりましたから〜」
なんて会話しながら、2人でどんどん書いていく。
そんな時間も、なんだか楽しかった。
恋人同士になった気がして…、ふわふわと浮いている気分になった。
でも、ちゃんとわかってる。
私と朝倉さんを繋いでいるのは、あのカフェでのバイト。
いくら仲良くなれたとしても、もしもどちらかがバイトを辞めたら…、ただの他人になっちゃうかもしれない。
だって、私は高校生で、朝倉さんは大学生だから。
だから、こんな今でも、私は不安でいっぱいだった。
いつからだろう。こんなに臆病になったのは。
多分、今までこんなに不安になった事はないと思う。
今までは同級生とか学校の先輩とか、近い人を好きになっていたから、こんなに不安にならなかったんだと思う。
相手が朝倉さんだから…。
…どうすれば、この不安を取り除けるんだろう?



