―――ずいぶん慣れたなぁ。
新しい環境に慣れるのは早いって自分でもわかってたけど…、初日に緊張してたのが嘘みたい。

店の雰囲気もいいし、お客さんもいい人たちばかりだからかなぁ。


「今日も、疲れたなぁ~」


店長に挨拶をして、店を出る。

すると、そこには思いがけない人がいた。


「よ。お疲れ様」

「あ、朝倉さん!?」


もしかして…、待っててくれたの?


「あの…、なんで…?」

「ちょっと、柚稀ちゃんとお話したいなーって思ってさ。あ、送るよ」

「そんな、悪いですよ」

「ヘーキ。それに、最近ここらへんで変質者が出てるって聞いたしね。柚稀ちゃん1人じゃ危ないよ」


…なにそれ。きゅんとする。


「…ダメ?」

「いいえっ!お願いします!」


そんな顔で言われたら、嫌だなんて言えないじゃん。

私の返事を聞いて朝倉さんは笑顔を見せると、歩きだした。