「い、池波君…。脅かさないでよ、びっくりしたー…。」
『茉子さんを驚かせよう作戦、大成功ですね。』
「、」
何よ、
私を驚かせよう作戦、なんて。
ネーミング悪すぎ。
私が早死にしたら、池波くんのせいなんだから。
『どうぞ。』
「え・・・」
驚かされた缶コーヒーを差し出され、反射的にもらう。
わざわざ買ってきてくれた…?
「あ、ありがとう…。」
『いーえ、どういたしまして。』
私だけに向けられた笑顔にドキッとしたのは、私だけの秘密だ。
「っ…か、帰るんでしょっ!早く行こう!」
『え、着替えは…?』
「何言ってるの!私はいつでもスーツ出社なんですけど?」
『クスッ…そう言えば、そうでした。行きましょう。』
カチッ
社内の電灯を消して、歩き出した池波くんの跡を追ったのだった。

