『池波先輩もそう思いますよね?』
『――ちょっと、黙ってくれないかな?林さん。』
『ッ!!』
『志葉先輩の言った通りだよ。ここは遊び場じゃない。俺にかまってられる暇があるのなら、手を動かして。』
『――っ、はい。』
向かい側だったから、この時池波君がどんな風な表情で、林さんがどんな表情をしていたかは分からない。
けど、池波君のひとことで、やっと社内に静けさが戻った。
『――先輩、終わりました。』
もうすぐで今日のノルマが終了って時に、新人のチェックが入った。
あとちょっとなのに…とか思いつつ、パソコンから視線を外す。
「ん、……いいわね、よく出来てるじゃない、新人。」
『ありがとうございます!』
「帰っていいわ。また明日。」
『はい!お疲れさまでした!』
「お疲れ様ー。」
ぁあーもう、面倒くさい。
何で私が新人の教育係なんか…。
とか思いながら、空っぽになった隣のデスクに溜め息をつき、またパソコン画面に向き直った。

