『しょうがないだろう。入社2年目だけじゃ足りなんだから。』

「いやいやいや、今不景気ですよね!?…ってか、それで何で私をチョイスするんですか!ベテランの大山さんとかいるでしょう!?」


大山さんは、あと5年で定年になる大ベテラン。

人数が足りないのなら、ベテランに頼むのが普通でしょ!?

ってか、私だけ今日になって教育係の事聞いたし!


『大山さんは、今、ちょっと家族問題があるらしくてね、新入社員の教育までは頭が回らないそうだ。それに、君は仕事が早いだろう。少しは残業したまえ。』

「ちょっ――」

『集まったなー。じゃ、新入社員の諸君の教育係を紹介しよう。』

「はぁ…。」


私の意見は完全無視。

何?少しは残業したまえって…それって、いつも定時には帰る私への嫌みですか?

大人げないから、課長…。


『井上 しおり、さん…には、、、志葉!』

「…。」


うなだれている私に、課長からのお呼び出し。

あーもう…覚悟決めるかー。


『あー…こいつだけは3年目なんだがな、仕事が早いから。任せたんだ。しっかり、志葉さんから学んでくれよ!』

『はい!』

「よろしく。」

『よろしくお願いします!』


うん、可愛いじゃん。

井上さんの笑顔に、ちょっと気分を良くした私だった。