――それから、数分で警察は来て、小島は殺人未遂の現行犯で逮捕された。
私たちも事情聴取で警察に連れていかれて、解放されたのは夜の10時過ぎ。
『…帰りますか。』
「――うん、」
事情聴取で遅くなっている私を待ってくれていたらしい池波くんの誘いを断ることなんてできなくて、結局、一緒に帰ることに。
池波くんと二人きりになるのは、あの時以来だから、ものすごくきまずかった。
「…あの、さ。」
『はい?』
「助けてくれて…ありがとう。」
そんな気まずい空気を崩したのは私。
殺されそうになっていた私を助けてくれたのは紛れもなく、池波くんだ。
そんな命の恩人に、お礼の一言も言わないのはいくら何でも失礼だ。
『そんな、大したことはしてません。ただ…無事でよかった。』
「池波くん…。」
池波くんの笑顔が眩しい。
こんなに頼りになったっけ、池波くんって。

