俺、マジ格好悪ぃ…。

茉子先輩が置いて行った1万円が…俺をまた虚しい気持ちにさせる。


『はぁ…。』


重い腰を上げて、俺は席を立った。


『いっ、池波様!?まだ食後のデザートが――』

「いい、帰る。」

『はっ…?』


レストランの支配人が、レジに立った俺を見てアタフタしている。


『当店のどこがお気に召しませんでしたでしょうか…?』

「いや…。」


別に、そんなんじゃなくて…――


「美味かった。けど、今日は気分が乗らないだけだ。だからデザートはいらない。…そうシェフに伝えろ。」

『御意。』

「じゃぁな。」


深々とお辞儀する支配人を背に、俺はレストランを後にしたのだった。