『――どうぞ、』

「ありがとう…。」


開かれた助手席のドア。

池波くんは大人しく助手席に乗った私がそんなに嬉しいのか、常に笑顔だ。


『じゃ、出しますね。』

「くれぐれも安全運転で――」

『分かってますって♪』

「わっ…!?」


どっ、どこが…!?

安全運転でって言ったのに、体験したこともないスピードで走って行く車。


「いっ、池波くん、そんなスピード出しちゃったら…っ!」

『大丈夫です、これ、スポーツカーなんで。』

「なるほど…ってそうじゃなくて…!」


怖い、怖すぎる…!

何でこんなジェットコースターに乗ってるような体験しなくちゃいけないの!?

疲れてるのに~!


『・・・着きましたよ。』

「へっ…?」


どうやら、私が目を瞑っている間にマンションについたらしい。

やっと落ち着けると車を降りたら――…