『じゃぁ、一緒に帰りましょう!』
「あー…はい。」
キラキラした笑顔で嬉しそうに言われてしまっては、もう降参です。
頷くしかないと思った私は、そんな自分を恨んだ。
『俺、裏口に車あるんで。』
「あ…池波くん、車なの?」
『はい。だから、裏口に来てくださいね?』
「…はい。」
ちゃんと行くから、そんな疑うような目で見つめないでもらいたい。
ただでさえ…あんたは顔が良いんだから。
好きでもないのにドキドキすんのは嫌なの。
~♪~~♪
そんな時、定時を知らせるチャイムが鳴った。
なんてタイミングのいいこと。
『じゃ、待ってますから。』
「……。」
最後に池波くんは念を押して給湯室から出て行った。
そんなに私って信用ないかなぁ~…?
首をひねりながら、私も給湯室を後にした。

