「まぁ、否定できないけど…それが問題じゃなくて、会社の後輩なの。」
『・・・はい?』
いつも威勢のいい秀美が、フリーズしていることが電話でも分かってしまう。
「だーかーら!隣に引っ越してきたの、会社の後輩なんだって!」
『――…ええーーーーっ!?』
「っ…!?」
あまり、二日酔いで頭がガンガンする時に、そんな高くて大きな声でしかも耳元で叫ばないでほしい。
ただでさえ、私はうるさいの苦手なんだからさぁ…。
『ちょっ、ちょっ…待って、イケメンで茉子の後輩ってことは…噂の池波くん!?』
「・・・よく分かったわね。」
こういう時の秀美の記憶力は本当にすごいと思う。
一回だけしか池波くんのことは話していないはずなのに、そのことをちゃんと秀美は覚えていたっぽい。

