私の名は、志葉 茉子(シバ マコ)。

24歳、独身。

そこそこ有名な株式会社の社員。


そんな平平凡凡な私が、唯一人とは違う所を言うと――…

極度の面倒臭がり屋であるということ。


自慢じゃないが、自他共に認めている周知の事実。

でも、さすがに社会人になってまでそれを前面に出すのはダメだと分かっているので、会社の人が私が面倒臭がりであることは知らない。


さっき、私が簡単に後輩に引き下がったのだって、面倒臭かったから。


彼、池波 大樹(イケナミ ダイキ)くんは、1歳年下の23歳。

この社の大人気ナンバー1を勝ち取っちゃってるイケメンくん。

長身でイケメンであるその甘いルックスと、女性への気遣いやジェントルマン精神を持っているということで、彼が入社して1年経った今でも、彼のファンは増えていくばかり。

この課でも、私以外はもみーんな、彼目当て。

隙あらば彼と離したがり、少しでも彼との接点を掴もうと日々努力している。

その気力を、仕事にまわしてほしいものだけど。


まぁでも、あんな格好良い子、そう簡単にはいないし。

彼と関係を持ちたがるのは分からないでもないけれど。

それでもしすぎなのでは?と思う時もある。


たとえば――さっきのこととか。