――人は皆、面倒だ。



『志葉先輩!』

「――…ぁあ、池波くん。」


とある3月下旬。

来月には新入社員も入ってきて、とても忙しい時期。


『ここ、どうすればいいですか?』

「池波くん、やったことなかったっけ?」

『ぁ、はい。何というか――』


言いにくそうな彼の表情。

ふぅん、よく分かったわ。

彼のこの表情には、もうさすがに見慣れてしまった。


「じゃぁ、覚えて。これは――」

『茉子先輩!課長が呼んでますよ?』

「え?」


彼に仕事を教えようとすると、必ず入ってくる邪魔。

こういうのにも、慣れてしまった。