おにぎりをすぐに食べ終わった俺は杏里にお礼を言って近くにあった自販機でオレンジジュースを買ってやった。
「…ありがと」
もう文句を言わないらしい。
親父は駅に向かって、俺らと違う方向に歩いて行った。
「バイトって何してんの?」
「コンビニの店員と―、新聞配達!」
「新聞配達!?」
「うん! このあたりの道も覚えれるし一石二鳥でしょ♪」
いまどき新聞配達をする女子高生ってどうなんだろうか。
しかもかけ持ち…。
「気をつけろよ…?」
「うん?」
笑顔で曖昧な返事をする。
たぶん何をかがわかってないんだろう。

