「あのね、今日はいっぱい非常食作ってきたの!」


 見て!! と、鞄を開けた杏里。




 鞄の中を覗くと大量のおにぎりが入ってる。




「…うまそ」

「食べる?」

「くれんの?」



 そう聞くと1つ取り出して笑顔で渡してくれた。




 綺麗に1つずつラップで包んであって、結構大きい。




「良かったな、琉。朝飯抜きはきついぞ」

「あぁ…助かった」



 ラップを取って食べる。




「うま…」

「普通のおにぎりだよ(笑)」



 杏里がそう言って笑うと親父が笑いながら言う。




「世の中には、おにぎりには見えないおにぎりがあるから」

「へ?」

「真っ黒な卵焼きだってあるし、真っ黒なトーストもあるんだ」

「…?」




 意味がわからないと首をかしげる杏里。




 …あいつの朝飯のことだろうな。