ちゃんとした飯は初めて……?
杏里、お前今まで本当にどんな生活をしてたんだよ…。
傷は多いし、知らないものも多いし…。
「また食いにこいよ?」
『うん! お邪魔するよ! あ、じゃあバイトの時間だから!!』
「…は? お前バイトしてんの…?」
『今日からね。時間ないし行ってくる~』
そう言って一方的に切れた電話。
「ちょ、杏里!」
ケータイを耳から離して見つめることしかできなかった。
あぶねぇだろ。
もうすぐ20時。
そんな時間からのバイトって…。
「彼女ぉ~?」
「…ほっといて」
「気になるじゃん! この前の女の子? 大したことないじゃん!! 私のほうがいいよ?」
「うるさい」
彼女じゃねぇし、お前なんかより全然良い女だ。

