溺愛男子

 飯を食い終わってからリビングでケータイを取り出して杏里に電話をかけた。




 声が聞きたくて我慢できなかった。





『もしもし?』

「杏里―」

『琉かぁ。どうしたの?』

「飯食った?」

『いっぱい食べたよ! 予算内だけど』




 杏里が次々に今日の夕食のメニューを上げて行く。





 とても杏里が食べれるような量じゃないけど…食べたんだろう。





「炭水化物ばっかりじゃねぇんだな」

『当り前でしょ。前は食べたくて食べてたんじゃないんだからね』



 話しているとソファに座ってた俺の隣にアイツが座る。




『琉のお家で食べさせてもらったグラタンがおいしくて! グラタン大好きになっちゃったんだからね』



 そう言って笑い声が聞こえる。



「俺のお勧めのオムライスは嫌いか?」

『おいしかったよ。でも、ちゃんとしたご飯を食べたのは初めてだったから…グラタンがすごい印象的』