溺愛男子

 女の人は心配そうに私の顔色をうかがいながら言う。




「でも…」

「マンションかどこかなら…交番に届くかもしれないし…行ってみる?」

「…思いつきませんでした」




 交番…。




 何度あそこに助けてと言いに行ったか…。




 嫌な思い出しかない場所も今は助けてもらえそうだ。





 女の人に付き添ってもらいながら行ってみた。




「届いてないですね」

「そうですか…」

「それらしい鍵が見つかったら連絡しますよ」

「ありがとうございます」



 お礼を言って交番を出た。





「…今日はどうしよう?」

「気にしないでください。適当にぶらぶらします」

「危ないわ。私の家にいらっしゃい」



 にっこりと笑った女の人に半分無理矢理連れて行かれた。