溺愛男子


 夏弥さんは俺の2つ下の娘さんがいる。



 最近会ってねぇけど。




「…杏里ちゃん、お風呂沸いたわよ~」

「あ、はーい!」



 杏里は俺のタオル攻めから逃げる様に風呂に走って行った。




 あいつ、着替えも持っていかないで…。






 近くに置いてあった俺のスウェットを母さんに渡す。





「風呂場に置いといて」

「杏里ちゃんね?」

「おう」


 母さんが行ったあと、おじさんの隣に座った。



 あ、制服着替えてねぇや…。





「あの子彼女じゃないんでしょ?」

「え、あー…うん」

「好き好きオーラ出し過ぎだよ。あの子は気付いてないけど」

「……好きじゃねぇし」



 好き…じゃないだろ。




 彼女はさすがにいたことはあるけど、好きな奴がいたことはない。





 だから恋愛関係の感情はわからねえけど…。