「…もういい、送るから」
「……ありがと」
杏里も諦めがついたのか、素直に俺に送られてくれるらしい。
そんなに俺の家から距離があるわけでもないし…。
「帰ったらすぐシャワー浴びろよ?」
「…嫌だ、冷たいじゃん」
「は? 湯出せよ」
「今、修理中~」
やっぱりガタが来てたらしい。
あんだけぼろいんだもんな。
「バカ」
「バカじゃないし―。タオルで拭けばいいよ」
「……行き先変更。俺んち来い」
180度方向回転をしてさっき来た道を戻る。
お湯が出ないシャワーとかありえないから!
「大丈夫だって! 心配し過ぎ」
「絶対風邪ひくだろ」
「引かないよ? もうお世話になってばっかりじゃんかー…」
頬を膨らまして俺に手を引かれる杏里。
杏里に1人暮らしをさせたら、危なすぎる。
何が起きてもおかしくねぇ…。

