溺愛男子


「だからね、困ったことがあればいつでも頼っていいんだよ」

「はい…」

「私は孫の味方だよ。君のお父さんの話も華から聞いていた。何かあればすぐにいいなさい」




 そう言われてから理事長室を出た。





 …おじいちゃんもいたんだ。




 少し今日の嫌なことを忘れて学校の出口に向かう。





「…おじいちゃん、おじいちゃん……」



 あまり使ったことのない言葉で照れくさかった。




 外に出ると雨が降っていて、傘を持ってきてないことに気付いた。




 というより買ってない。





「走って帰ろう…」



 出来るだけコンクリートの道を歩いて急いで校門を出た。




「杏里!」

「へ!?」



 校門を出たすぐのところに立っていたのは琉。




「バカ、風邪ひくぞ…」