どこかで嗅いだこのある匂いが鼻についた。



 …薬品の匂い。




「…ん」



 目を開けると白い天井が視界に入った。





 首を動かして横を見ると琉が座っている。





「…あ、起きた?」

「琉…」

「ビビるんだけど。島田に言われて屋上に行ったら杏里倒れてるし」



 あの人たちはもういなかったってこと…?




 少し痛い頭を押さえながら、ゆっくりと起き上がると腕に出来ているいくつかの傷。





 あぁ…また増えたんだ。





 さっきフラッシュバックした事が今も鮮明に頭の中に残ってる。





「誰にやられた?」

「知らない人…」

「女? 男?」

「女の人…」