俺はどうでもいいが…杏里に友達が出来ないのはマズイ。



「…杏里」

「ん…」



 泣きそうな顔してこっちを見る杏里。




 机の下で杏里の小さな手を掴んだ。





「大丈夫だから」

「…ん」




 俺は雪を呼んだ。




「おい、雪。ホントにこいつだった? 俺と一緒にいた奴」

「え? …うん」

「雪と会った時、母さんと一緒だったんだけど。違ったか…?」

「……たぶん」

「本当か?」



 周りの奴らも聴き耳を立ててるはず。




 頼む、違ったと言え。




「…自信無くなってきた」

「だろーな。だって俺、母さんといたし」

「…そうだったかも……」




 うし、これで大丈夫だ。




 こいつ…案外単純なんだよな。





 そこが良いところでもある。