ホームルームが終わって担任が教室から出て行くと杏里の周りに人が集まってきた。
「可愛いぃぃ~~♥♥」
「だよな!! めっちゃ可愛い!」
杏里は焦りまくってて話に着いていけない。
「…え、と…あの……」
「落ち着けよ…」
「無理! 昨日、緊張して寝れなかったんだから~」
目を押さえながら唸る杏里。
…電話すりゃいいのに。
「ねぇ、琉の彼女もどきだよね!!」
「は? おい、コラ。雪」
「だってそうじゃん~」
余計なことを言う雪。
一気に女子の目つきが変わった。
「…ちょっとそれ、どういうこと…?」
「聞いた…? 琉君の…」
「土曜日に百貨店で見たのもあの子じゃない…?」
女子が囁き始めた。
杏里の顔つきがこわばっていく。
あーあ…最悪だ。