荷物は手で持てるくらいしかなかったから、お金はそんなに掛からなかった。
だけど、ここも見つかってしまうだろう。
たぶんあの男は私を探す。
自分が働くのが嫌だから。
「…中は結構キレイ…」
大家さんに挨拶をして部屋に案内してもらった。
部屋自体は狭いけど、住めないことはない。
前のアパートに比べたら自由があり過ぎるくらいだった。
私の居場所と言ったらいつも蹴られる部屋の隅くらい。
「…始まるんだ」
もう、蹴られないんだ。
殴られないんだ…。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…