溺愛男子


「…俺と一緒に遊びに行かない?」

「ごめんなさい…今日はケータイ買いに来たんです」

「じゃあ買い終わってからでもいいから♪」



 にこにこ笑う男の人。




 嘘っぽい笑顔。





 これならあんまり笑わない琉のほうが全然マシだよ。



「ごめんなさいー」

「そう言わずにさ♪」



 無理だって言ってるのに~。




 私は急いで自動販売機から離れた。





 というかケータイショップに逃げ込んだ。





「…何焦ってんの」

「ううん、なんでもないよ」




 さっきの椅子に座って買ってきた飲み物を渡す。




「お前…コーヒー飲めねぇくせに自分のもコーヒー?」

「…いいでしょ」

「はいはい」




 また書類に目を戻す琉。



 スタッフさんも不思議そうに笑ってる。