部屋に入った琉は私の顔を見る。




「…泣いた?」

「え?」

「涙の痕があるんだけど」

「記憶にない~…」



 寝てる間に泣いたのだろうか。




 怖くて寂しかったのしか覚えてない。




「…とりあえずこれに着替えろ」

「これは?」

「母さんに借りてきた。寒いから」



 琉に渡されたのはピンク色のフワフワしたワンピース。


 リボン型の襟が可愛い。


「ありがとう…」

「俺は外にいるから着替えたら荷物持って出てこい」

「はーい」




 琉が出て行ってから急いで着替えて通帳を鞄に入れて外に出た。





 玄関には可愛らしい靴が置いてあった。




「…これ、履くのかな…」


 その声が聞こえていたみたいですぐに返事が返ってきた。



「履け」



 また一言。