*杏里side*



 やっぱり琉が帰った後は寂しかった。



 早く朝にならないかな。





 夜は何度も同じことを思った。




 琉に言われた通りちゃんと戸締りをして電気を消す。






 またうなされないか怖かった。





「琉……」




 不安なときによく傷が痛む。




 一向に消える気配のない傷跡も私の不安を募らせる材料にしかならない。




 あまり寝れなかった。






 朝は扉をたたく音で起きた。




「杏里―? 10時回ってんぞ!」

「へっ…あ…ごめん!!」



 急いでドアを開けると不機嫌そうな顔の琉が立っていた。



「俺を待たせて寝てたのか」

「ごめん~…」