杏里は嬉しそうに俺があげた指輪を撫でながら冷たい石となった父親に向かって言う。
結局最後まで和解出来たとは言えない状況だった。
だけど、杏里の父親に向ける笑顔は本物。
杏里の心の中でどういう整理が行われたかなんて知らないけど、本人が笑ってるならそれでいい。
俺は杏里が笑顔でいてくれれば十分だから。
「お義父さん、杏里もらいますね」
返事なんか返ってこないけど、今はこの少し温かい風だけでいい。
絶対、大切にします。
もうすぐおそろいの左手にはめるリングに向かって誓うんだから。
END
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