カウントを途中で止めた杏は口をポカンと開ける。



「…杏里、好きだから。マジで」

「何いって…琉の好きな人は…」

「杏以外あり得ない」



 
 思ったより杏が理解するまでに時間がかかる。




 とりあえず家の中に入れさせてもらった。





 部屋に変化はなく、俺の見慣れたまま。





 そりゃそうだろう。





 俺の中では何年に感じても、実際はここ数日の話。




 それだけなのに、杏の中での変化は大きいみたいだ。






「琉は…私をまだ好きでいてくれるってこと?」

「まだってかずっと好きなんだけど」

「なんで別れたんだっけ…?」

「お互いの勘違い?」

「…琉に好きな人が出来たかと思ったから…」




 俺は、皐月が好きだと思ってたから…。





「え…よくわかんなッ…」

「もういいよ。俺らは進行形ってことで♪ な?」

「…うん」