「…私は琉がまだこんなに好きなのに、どうしてそんなに軽くキスが出来るの?」



 全くこっちの話を耳にいれようとしない杏。




 …頼むよ、杏。





 俺だって杏がこんなに好きなんだ。





 傷つけるためにキスをしたんじゃないんだ。




「杏里」



 俺がゆっくりと杏の名前を呼ぶとピクッと反応する。





 抱きしめられてる杏は、俺から離れようと少しもがいてる。





「…杏、俺が好きなのは―――」

「―――聴きたくないよ。それはちゃんと本人に言わなきゃいけないことでしょ。元カノに言うことじゃない」




 思ったより、杏はずっと頑固で。




 子供っぽくて。





 俺も戸惑う。