戻ってきて、俺のところに。



「駄目だよ…」

「なんで?」



 もう一度キス。




 小さなリップ音が聞こえた。




「なんでって…琉が付き合えなくなっちゃうよ」

「それは困るね」

「…だったら、離れなきゃ」

「嫌」



 困った顔をする杏の顔は、久しぶり。




 離れてから全然日なんて経っていないのに、恐ろしいほど杏への執着心。





「嫌って…」

「ん、杏からキスしてよ」



 唇を突きだすと「嫌だぁ…」と呟く。




「俺が嫌だぁ~」

「琉の考えてることわかんないよ…」

「そう? じゃあ」



 俺はにこりと笑ってもう一度キスをした。



 さっきより長く、深く。